社会福祉法人 北海道社会事業協会 余市病院

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【2014/7】釜石市・大槌町 ~岩手県釜石市・岩手県上閉伊郡大槌町~

釜石市・大槌町 家族で被災地に入り、住んで働くこと 米田夫妻

米田哲

僕が米田哲先生とバンコクで会ったのは3年前、彼がメータオクリニックでの診療を修了し、岩手県釜石市に総合診療医として赴任する直前でした。当時、僕はマヒドン大学の博士課程で研究を本格的に始めたところでした。震災支援に向かわずバンコクに残る決断をした僕は、被災地に颯爽と向かう米田先生に感謝をしていました。今回、2014年7月、岩手県を訪れる機会があり、僕はまず米田先生に会いに釜石市に向かいました。
東京から新幹線に乗り、新花巻まで来た後、釜石線に乗り換え、2時間掛けて釜石市に到着しました。

 

 

米田哲

釜石市は人口4万人弱の港町です。以前は鉄鋼業で栄えていたものの、産業の衰退とともに、1960年代には9万人いた人口は減り続け、高齢化率も30%以上となりました。震災による死者、行方不明者は1,040人、約4,700世帯に及びました。2014年3月時点では5,000人程度がまだ仮設住宅に入居しています。

岩手県立釜石病院は272床、年間1,500~2,000台の救急車を受け入れる地域の中核病院です。慢性期、精神科の病院が周囲にあり、また医師会、開業医の先生が往診等プライマリケアに取り組んでおり、2次をメインとした救急体制に専念しています。
米田先生は元々小児科の先生ですが、釜石病院では総合診療医として地域医療に取り組んできました。

僕が今回、岩手の県立病院をいくつか見学して感じたのは、専門性の強さと総合医の少なさでした。東北大学と岩手医科大学が被災地も含め地域に医師を送り続けている一方で、大学以外での総合医、総合内科医を育成する良いプログラムに乏しく、困っている印象です。釜石病院では内科診療を院長先生がメインの内科、循環器科と自治医大卒の先生かされている総合診療科で分担しながら診ているようでした。米田先生は総合診療科として他科もサポートしており、僕が到着した当日は、脳外科の対応をしていました。

米田先生は様々なトレーニング、勉強会にも力を入れており、僕の目には十分、地域の役に立っているように見えましたが、悩みは多いようでした。悩みの一部は、僕には、海外支援にも共通する悩みのように感じました。地域に密着した活動ができるか、継続するには、そして、自分の専門性やキャリア、後進をどう育てるか。僕らは夜中そのようなことをずっと語りました。共通する思いは多く、一緒にできることは多いように思いました。

米田哲

大槌町は、釜石市の北にある人口15,000人の町です。津波により11,000人にも及びました。死者803名、行方不明者474名との報告があります。米田夫妻は震災直後、AMDAの支援で大槌町に入りました。その後、助産師でもある米田恭子さんはAMDAの職員として大槌町の支援を継続しました。地域に入り、地域を繋ぐ仕事をしながら、助産師として若い母親を支える活動を続けました。

釜石市を訪問した翌日、米田恭子さんが大槌町を案内してくれました。まず、最初に連れて行ってくれたのは、プレハブの病院でした。被災地支援の中心となった体育館、弓道場の横にプレハブの病院が建っていました。大槌町の開業医の先生方の病院はほぼ沿岸部にあり、ほとんどが被害にあったとのことです。自分たちも被災しながら、体育館で住民の診療に当たりました。いつも診てもらえる先生がいることの安心感は大きかったと聞きます。プレハブの近くに建っている病院が完成に近づいていました。また、その近くに県立大槌病院が3年後に新設され、ようやく地域の医療が軌道に乗り出します。体育館の近くを歩くと、幼稚園、小学校、中学校があります。未だプレハブですが、子供たちの元気な声が聞こえました。

米田哲

最後に町で唯一残った大念寺に立ち寄り、住職に当時のお話を伺いました。震災当時、このお寺には数十名の被災者が集まり生活をしていました。津波もお寺のすぐそばまで押し寄せ、また津波と同時に町が火事になり、3日3晩燃えるものがなくなるまで燃えたようです。津波で流された人を助け、毎日傷だらけで帰ってくる住職を奥さんは案じていたようです。震災の犠牲者のお骨が多く保管されていました。今でもお寺は支援の中心として、色々な活動を行っていました。

「できることの限界、無力さを感じた。」「被災した地域の方が望むことは、新しいことではなく、元の生活に戻ることだった。」と米田さんは言います。「私たち家族はここで生活、支援を支援をすることを選んだけれど、それは良かったことなのか、よくわからない。」被災地に入り、地域の住民となって分かる難しさ。高齢化、過疎、若年層の減少、震災前からあった問題はより大きく地域にのしかかります。
米田夫妻は今月末で岩手県を離れます。米田さんが訪れる所々で、様々な人が親しく嬉しそうに寄ってきて、お話をする姿を見て、地域にとって必要とされる大きな存在であることを感じました。長い間本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。

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