社会福祉法人 北海道社会事業協会 余市病院

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【2014/6】広島 ~香川県丸亀市広島~

人口300人の島、広島島医者として働くこと 白神 悟志 先生

「ちょっといい?この家寄ってみるわ。」
「ここには99歳のおばあちゃんが1人で住んでいるんだわ。」僕に島を案内する途中で、通りがかった家の住民の様子を心配して見に行く白神先生は、島の住民ほぼ全ての名前、住んでいる場所を覚えていました。

広島は香川県丸亀市から船で約30分の場所にあります。広島診療所は、公立で丸亀市の管轄です。島全体が良質な石で出来ている広島は、江戸時代の頃より採石で賑わっていました。山の至るところに採石の跡が見えます。近年は中国産の安価な石に押され、60戸あった採石は10戸まで減少しました。

島は高齢化が進み、一時1,500人いた人口は300人となりました。島にある立派な小中学校は廃校となり、子供の姿が消えました。立派な神社にも人はいません。桜並木も、夕日が綺麗な美しい浜も人の姿は見えません。子供がいる若い住民は丸亀市から船で通っています。島では60・70代が若手です。退職してのんびりしたいと思って島に来たら、「若い人が来た。」と喜ばれ、色々な仕事が増えて増えてのんびりできなかったとのこと。昨年、島唯一の民宿のご主人が亡くなりました。島には食堂はなく、唯一ある商品の品揃えも落ちてきました。

白神悟志

「この島が本当に大好きなんだわ。」と笑う白神先生の顔が印象的でした。先生は島に来て4年目になるとのこと。家に泊めてもらい、まず驚いたのは本の数でした。医学書、保健、経済、様々な本で溢れていました。島のためにできることは、若い人を呼び込むことだ、と島での活性化につながるプロジェクトに積極的に関わっています。この日は空き家となった古民家を再生し、宿泊施設として提供することで地域を活性化させるNPO法人の方を招いて島の住民と勉強会を開催していました。

先生は自分の診療を診察の質を落とさないように、週1回、坂出市にある病院の救急室で勤務し、週末は様々な勉強会に参加していました。診療所では、採血、エコー、レントゲン等、一通りの検査はできます。「グラム染色もしています。必ず血液培養もとります。」とのこと。診察では手を抜かない丁寧な問診と診察が印象的でした。診療所の横には宿舎もあります。

島の初日に急患が出たときは、点滴を取り、ボートで搬送しようとしたところ、看護師さんに「点滴は駄目です。」と止められたとのこと。波が荒い日にスピードが出るボートに乗るとラインが抜けてしまい危ないそうです。何にも処置ができず移動中に悪化することを防ぐために、県の災害ヘリを利用できるようなシステムを作りました。坂出の病院の医師に乗ってもらい、ドクターヘリとして診療所の前に降りてもられるような仕組みを作りました。島の夜はとても静かです。救急車の音もしません。一方で、一人暮らしの住民も多く、住民に急変があったときに診療所まで運ぶことも一苦労です。急変の連絡があったらすぐに70歳を過ぎた消防団員に電話を入れてタンカで運んでもらうようです。診療所の前には廃校となった小学校のグラウンドがあるものの、消防団の高齢化でヘリが降りるための放水ができずグラウンドが使えないため、その代わり診療所の前の草むらを使っているとのこと。「そろそろ草むらの草刈をせんといけん」と笑っていました。

白神悟志

僕が到着した初日に、住民の人を交えて飲みました。採石を引退した親父さんは、綺麗な家庭菜園を作り、自給自足の生活を楽しんでいました。採石の歴史、島の繁栄、衰退の話を聞きました。その夜は白神先生と島のためにできること、医療面でサポートできること、今後の展望について夜遅くまで語りました。翌朝、診療所を離れて一時間程度小雨の中、島を散歩しました。島の小道を歩くと至るところに綺麗な畑や蜜柑の木があり、生活の匂いと音を感じました。

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