社会福祉法人 北海道社会事業協会 余市病院

〒046-0003 北海道余市郡余市町黒川町19丁目1番地1

【2015/12】Tha song yang 病院での研修(麻薬中毒患者さんへの介入)

Tha song yang病院

杉原です。興味深かったTha song yang病院の外来部門の一つ、麻薬中毒者の外来について紹介します。タイの北部地域の山間では以前、あへんの栽培が行われており、簡単に麻薬が手に入ってしまうような環境にありました。タイでも麻薬の使用は禁止されており、この状況を改善しようとタイ政府の政策や王室のプロジェクトにより、あへん栽培の畑はなくなっていきました。しかし今でもあへんが育っていたり、また使用している人々がこの地域にもいます。病院が遠いからと麻薬を手に入れ、腹痛を和らげるために使用する人もいたり、またこどもに使用してしまうようなケースもあるそうです。
3年前よりそうした人々に対してのプロジェクトとして、Tha song yang病院でも麻薬中毒者に対しての外来やモバイルクリニック、各部門との連携が始まりました。外来では、バイタル測定と問診、検尿による麻薬使用のチェック、診察があります。Tha song yang病院が抱える患者さんは計100人近くいて、月1度受診する形になります。オピオイド(医療用麻薬)を低量内服して治療をしていくのですが、やはり治療中にも麻薬を使用してしまうケースは多々あります。検尿結果が陽性だけども、「使っていない」と言い続け、ゆっくり臨床心理士や看護師が話を聞くと本当のことを話すという様子が見られました。治療中に麻薬反応の検尿結果が陽性となることが4回以上になったら、治療は中止となるというルールがあり、伝えられていました。

Tha song yang病院

精神科の看護師は「麻薬中毒者のことを考えるときに、ただ麻薬をやめさせるということを考えるだけでなく、色々な周りのことも考えなければいけない」と話していました。例えば、麻薬を使用するときに針の使いまわしをしていた患者さんが多いため、なんと80%ほどの患者さんがHCV(C型肝炎)陽性でした。HIVの方も1~2%ほどいるそうです。またこの地域の麻薬中毒患者さんに介入しているNGOの方は「麻薬をやめなさいというだけでは患者は心を閉ざしてしまう。考え方を変えられるようにサポートしなければいけない」と話していました。患者さんたちは、村でも孤立したような状態になってしまっているそうなので、まずは関係づくりをすることを大切にしているそうです。こうした様々な視点からの考え方が必要だということは、なかなか警察などに理解してもらえず困難も抱えているそうです。そこでカンファレンスを開き、麻薬に関する教育をすることやHIVやHCVの感染予防も同時に行うこと、精神的サポートをすることなど10の取り組みを行うことを掲げ、現在病院やプライマリーケアユニット、NGOなどが活動をしているとのことでした。
この患者さんの背景を考えながら取り組む活動、とても興味深かったです。なかなかすぐに結果を出せるものでなく、気長に患者さんに寄り添っていく必要があることですが、麻薬使用をやめられた患者さんやその家族が幸せそうにしている姿を見られるのは一番の喜びと看護師さんが話していました。またNGOスタッフの中にも麻薬の使用経験があったり治療中だったりする方もいるそうで、気持ちがわかるから寄り添えたり、お互いに学びあう中で良い影響をし合えると話していました。なかなか難しい問題ですが、地道に活動する素敵な取り組みだなと思いました。

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